第二章委員会における調査成果の概要
2−1体力調査の実施(平成6年度事業)
2−1−1体力調査の目的
近年、高年齢船員が増加し、その災害発生率は年々増加している。加齢による形態、機能及び体力水準は、図1の様にほぼ直線的に低下していることが知られており、このことが災害に結びつく懸念がある。また、加齢による各種の機能は、図2のように20〜24歳を基準とすると55〜59歳で35%〜94%に低下する。したがって、このような各種の機能を把握する必要があるので、これらをなるべく網羅する測定が望ましいと考えられる。そこで、本調査では、図2の円で囲った項目について調査することとした。その内容は以下のとおりである。
一般的な体力測定を行うとともに、特に、船員災害として最も頻度が高い「転倒。転落。つまずき・激突」は船上でのバランス維持能力と身体の柔軟性の密接な関係があると考えられるので、平衡機能測定と柔軟性機能測定を、また、次に多い「巻き込まれ・激突され・挟まれ」は障害物等への迅速な対応と密接な関係があると考えられるので、敏捷性のテスト、反応時間及び瞬発力測定を重点的に行った。
図1 男子女子の生理的機能(25種)の評点の平均の年齢的な衰退
(大島等、労働科学叢書 労働と年齢 労働科学研究所 1955)
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